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研究でしびれるということ(3)

 実験科学に関わるヒトを虜にする「セレンディピティ」。松江一教授がこれまでに「しびれた」研究例を連載で紹介しています。
↓こちらも合わせてご覧ください。

研究でしびれるということ(1)
研究でしびれるということ(2)


栄養学科 松江 一

学位論文でしびれた瞬間2 -加え方の間違いがもたらした大成功-
 次に第二の課題は、本物の天然物の合成であり、モデル化合物の経験から、化合物(5)から(7)ができれば、後は上手く行くなとひそかに思っていた。しかし、これが難関で、いくら小生がトライしても化合物(6)しか出来ないのである。化合物(6)からは最終化合物(8)には行けないのである。この時も今アメリカのバイオベンチャーで社長をしている後輩が、4年生で小生についていた。そして彼に、化合物(5)から(6)の反応を練習してもらった。次の日、そのデータを見た小生びっくり仰天、「いとも簡単に化合物(7)ができてる?。これどうしたの」と言ったら、「先輩に教わった通りにやっただけです」という。詳しく話を聞くと、第二課題の(b)と(c)の反応条件が全く同じようだが、実は試薬を加える順番が違っていた。年上だった小生は、(c)の加え方が爆発の危険性があるかを知っていたので試してなかった。彼はそれを知らずに平気で行い、うまくいった。しびれた瞬間であった。
その後、この二つのテーマで、都合10本の英文の論文がパブリッシュされ、二人の博士が誕生した。
Matsue120305


次回最終回。学位を取得し新たな研究に着手した松江教授がしびれた瞬間とは!?つづく。(次回更新は3月19日予定)
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