FC2ブログ

研究成果を形にして世に出すために・・・特許と製品開発

栄養学科 岩井邦久

 アピオスって知ってますか?「ホドイモ」のほうが分かりやすいかもしれません。実はこれ、「イモ」と言いながらマメ科の植物で、数センチに膨らんだ土中の塊茎を食べるものです。
 とある人の紹介でアピオスの研究を始めたのは10年前。アピオスの血圧に及ぼす作用を研究してきました。血圧の上昇には色々な仕組があるのですが、その一つにアンジオテンシン変換酵素 (ACE) があります。この酵素が働くと昇圧物質が生成され、血圧が上がるのです。私たちは、アピオスのペプチドにACEの働きを抑える活性があることを発見したのです。
 そこで、このペプチドと製造法を特許として出願しました。ところが、審査で拒絶を受けました。「このようなペプチドは他にもあり、容易に考えつく製法である」即ち、「進歩性に乏しい」というのです。確かに、食品由来のACE阻害ペプチドはたくさんあります。これに対し、私たちは「様々な方法の中から最も効果的な製造方法を見出したこと」、「この製法で得たアピオス・ペプチドのACE阻害活性は他の食品由来ペプチドより強く薬剤にも匹敵すること」、「この製法により新たなアピオス製品が開発される可能性のあること」などを意見として提出しました。その結果、私たちの主張が認められ、7月9日に特許となりました。
 一方、数年前から特許を利用した製品づくりを五戸町の倉石地域振興公社さんと共同で始めました。同社はアピオスを地域の特産として大きく育てたいという思いを持っており、私の呼びかけに応じて共同研究をするようになったのです。この製品開発の目標は、全く新しいアピオス商品の創出でした。食べるアピオスは加工品を含めていくつもありますが、飲むアピオスは世の中にありません。そこで、アピオスの飲料化を目指しました。この特許を使えば、それが可能になるのです。そして、県産リンゴも使った全く新しいアピオス商品が完成しました。
 文章にすればたったこれだけです。しかし、製品化を実現するまでには何度も試行錯誤を繰返し、分析を行い、学生に試飲してもらい、場合によっては新たな装置を導入し、様々な手だてを講じました。大震災による資材や材料調達の遅れなどもありました。大手の企業なら1年以内で完成させるであろうところを、私たちは約2年かかりました。しかし、最終的に研究成果を商品という目に見える形にできたことは (その商品には保健大の名前も)、無上の喜びです。そして、完成に至った一番の要因は、関係者の信頼関係にあると思っています。この開発に携わった全ての方に感謝を申し上げるとともに、保健大学でもこのような商品開発ができるということを知っていただければ嬉しい限りです。

Iwai121030
  アピオ酢in青森りんご
ラベルには青森県立保健大学の名前も・・・

関連ニュースを栄養学科ホームページ NEWS にも掲載しています。
カテゴリ
月別アーカイブ